お正月に欠かせない鏡餅。
その下に敷かれている台「三方(または三宝)」にも深い意味が込められていることをご存じですか?
単なる飾り台ではなく、神仏に供物を捧げるための神聖な器として古くから使われてきました。
本記事では、三方の意味や由来、現代家庭での扱い方、さらには一年を通じて活用できる使い道までわかりやすく解説します。
鏡餅にはどんな意味があるの?
鏡餅のシルエットって、すごくかわいらしく思いませんか?
お餅の上に乗っているみかんも、シンプルだけど、鮮やかできれいですよね。
小さいころは、食べないのにどうしてお餅を飾っているんだろう、なんて思っていた私ですが、実は、お飾りの鏡餅もきちんと調理すれば食べられることを知ったのはもっと後のことでした(笑)。
そんなお餅を飾るのには実はいろいろな意味があるようなんです!
これには諸説あるのですが、
・三種の神器「八咫鏡(やたのかがみ)」をモチーフにしたもの
・一年を円満に迎え、年を重ねるためのもの
などなど…。
一つのお飾りでこんなにたくさんの意味を持つんですね…!
ちなみに、「鏡」は、古代の日本では、現世とあちら側の世界をつなぐ境界として、とても神聖なものだとされていました。
青銅で作られた丸い鏡が神様をまつる儀式で使われていたそうなんです。
2012年には、作家・辻村深月さんの小説「ツナグ」のお話のカラクリに鏡が用いられていました。
鏡を通じて生と死が描かれたとても素敵なお話で、心がじんと熱くなったのを覚えています。
お餅の丸さを、とげやへこみのない「円満さ」や「鏡」にたとえて飾ることで、新しい一年も縁起が良くなるようにお祈りするんですね。
鏡餅の三方にはどんな意味がある?
さて、先ほどご紹介した鏡餅ですが、神棚や床の間などに直接お餅を置いて飾るわけにはいきませんよね。
そこで必要なものが「三方(三宝)」と呼ばれる台なんです。
主に、ヒノキや素木(シラキ)から作られる台で、この上に、お餅やみかんや縄を置いて飾ります。
三方と呼ばれるのは、三方向に穴が空いているからなんですが、もう一つの表記もあるんです。
では、この三方は「三宝」とも書かれるのはどうしてなんでしょう…?
これには、寺院の三要素、「仏・法・僧」を三つの宝としているからだそうです。
寺院の神事に用いられる三宝は、漆塗りのものが一般的です。
そういえば、「仏」とか「僧」って「ほう」って読むんですね…(笑)。
知らなかった……。
三方向に穴が空いているので、穴を神前に向けないように置くのが基本です。
ちなみに、鏡餅を飾る台としてのイメージが強い三方ですが、季節によって飾るものが違います。
例えば、
・菱餅(ひしもち)
・柏餅
・鮎餅
・月見団子
など、一年中季節の行事にあわせて使えるものなんですね。
三方(三宝)の歴史と現代的な活用
神仏習合から生まれた「三方」の役割
三方は神道だけでなく仏教にも通じる道具であり、「仏・法・僧」を表す三宝の意味合いから神聖視されてきました。
神仏習合の日本文化の中で、供物を清浄に捧げる台として定着していったのです。
現代家庭での三方の扱い方
現在は檜製や白木の本格的な三方だけでなく、紙製・プラスチック製のものも流通しています。
大きな床の間がない家庭では、小ぶりな三方を使ったり、折敷やお盆で代用しても構いません。
大切なのは「神様への敬意を込めて清浄な場所に供える」という心です。
季節行事での三方の再利用
三方は正月の鏡餅だけでなく、節分の豆、ひな祭りの菱餅、端午の柏餅、十五夜の月見団子など、一年を通じて多くの行事に活用できます。
単なる「お正月道具」として終わらせず、四季折々に使うことで、日本の年中行事をより身近に楽しむことができます。
気になる鏡餅の作り方と飾り方は??
鏡餅ってどうやって作ったらいいの?
せっかく一年の始まりだから、無理はせず、でもきちんと準備がしたい!と思う方もいるのではないでしょうか?
もち米をふかして、「うす」と「きね」でぺったんぺったんつくのも伝統的で楽しいですが、ほとんどの家にはそのような道具や場所はありませんよね…。
最近では、一般的に使われる炊飯器でもち米をふかしてお餅が作れます。
市販のお餅を電子レンジで柔らかくするのもラクチンでいいですね♬
お餅ができたら、いよいよ形を作りましょう!
お店の職人さんのようにお餅を丸めるのはとても大変です。
でも、大丈夫!
どの家にも必ずある「お椀」で綺麗に丸くできるんです!!
必要なものは、大小のお椀が一つずつ。
お椀にお餅を入れて、中で転がるようにお椀を軽く振るだけで形が綺麗に整うなんて、手間がかからなくて最高!
洗うのが大変だなぁと思ったら、先にお椀にラップを敷き詰めておきましょう。
お椀の内側に霧吹きなどで少し濡らしておくと、ラップが綺麗に張り付きますよ♪
※お餅はアツアツのうちに形成しないとすぐに冷えて固まってしまうので、それだけ気を付けてくださいね。
形成したら冷やして固めて、ラップから取り出しましょう!
いよいよ飾り付け!
鏡餅には正式な飾り方ももちろんありますが、最近では、向きや飾り方は、地方や家庭によって違うようです。
三方は、3寸~1尺3寸のサイズで作られます。
使う三方にあわせてお餅を飾ってくださいね!(1寸=約3センチ 1尺=約30センチ)
一般的には、下から、
・紙垂(しで)
・四方紅 又は 奉書紙
・裏白(うらじろ)
・ゆずり葉
・鏡餅
・橙(だいだい)
の順に飾るようですが、地方や家庭によって飾り方が変わるので、細かいところまで気にしないで飾ってしまいましょう。
玄関・寝室・神棚・子ども部屋・お手洗いなど、神様をお迎えしたい場所に置きます。
鏡餅を飾る方向ですが、その年の吉方に向かって飾るのがよいとされています。
でも、飾る場所によっては、きっかりその方向には置けない、ということもありますよね。
その場合は、無理に置かずに、なるべく吉方に近い場所を選んで置くのでも大丈夫だそうですよ!
しきたりや形式に沿って、きちんと飾ることにこだわるよりも、お祈りや気持ちを込めて飾ることが大切なんです。
鏡餅の三方にはどんな意味がある?【まとめ】
鏡餅って、ただのお餅じゃなくて、おせちと同じくらいいろいろな意味が込められたものなんですね…!
昔の人ってすごいなぁ、と調べながら思いました。
一つ一つの事柄にきちんと意味があって、家族繁栄や、無病息災を心から祈り、神様をまつる日本のお正月文化は本当に素晴らしいものだと思います。
たった一日のために、おせちやお雑煮などの料理だけではなく、大掃除やお飾りの準備など、やらなければならないことは盛りだくさんですが、年が明けるって、なんだか不思議な感覚ですよね。
私は、来年から飾った鏡餅をお雑煮に入れて食べたいと思います。
来年も素敵な一年になりますように。