法事で喪主を務めることになったけれど、「どんなあいさつをすればいいのか分からない」と悩む人は多いもの。
法要や会食の場では、参列者への感謝と故人への思いを伝える喪主の言葉が欠かせません。
この記事では、食事前のあいさつ・献杯・締めの言葉など、すぐに使える例文とマナーをわかりやすく紹介します。
覚えておきたい法事の食事のあいさつの流れと注意点
まず、食事前のあいさつの流れから。
- 本日参列いただいたことへの感謝の言葉
- 故人が亡くなってからの自分や家族の気持ちと近況
- 食事を楽しんでいただきたいこと
- 献杯へ
難しい言葉で言おうとするとプレッシャーになります。
上記の流れが多少前後したって大丈夫。
自分の今の気持ちを自分の言葉で。
故人の大好物だったものを会食のメニュー取り入れてもいいかも。
一言添えればそれだけでオリジナルなあいさつになります。
出席者の方々の興味も食に向かいますね。
会食はゆっくり食事を楽しみながら故人を偲ぶもの。
食事前のあいさつにぜひ取り入れてみてはどうでしょう。
あいさつの時の注意点
全員が席に着いていること確認。
献杯のあいさつを頼むなら事前にお願いしておく。
(故人の親しかった友人、ご近所さん、親戚なら故人に近い年長者など)
忌み言葉に注意すること。
(重ね重ね、常々、ますますなどの重ね言葉)
法事の食事前あいさつの例文
《 例文1 》
おかげさまで良い供養となり、父も喜んでいることでしょう。
父の死から早いもので一年。
皆さまの温かい励ましのお言葉により、私ども家族も少しずつ前を向いて進んでおります。
心ばかりの会食をご用意いたしましたので、どうぞごゆっくりお召し上がりください。
(※個人的にささやかな、粗食ではございますがという言い方は斎場側に失礼だと思うので、心ばかりにしました)
では、献杯を◯◯さまにお願いいたします。
《 例文2 》
こちらの△△セレモニーさんのご厚意で兄の好物だった□□をメニューに加えていただきました。
好き嫌いが多かった兄ですが、これだけは残さず食べておりました。
皆さまに兄の思い出など語っていただくことが何よりの供養でございます。
賑やかなことが大好きだった兄です。
箸を動かしながら大いに語らっていただけたら幸いです。
本日はありがとうございました。
献杯のあいさつを◯◯様、よろしくお願いいたします。
故人の思い出などは最後のあいさつに盛り込むのでこのくらいで…。
献杯のあいさつ例文
次に献杯でのあいさつの例文をご紹介します。
【献杯あいさつ時の注意点】
厳かな中で行われるのが法事です。
献杯の発生の声は控えめに。
故人との関係などの簡単な自己紹介を。
長くなりすぎないように注意しましょう。
献杯とは故人に敬意を表して盃を手向けること。

献杯、と言う時は必ず遺影に向かうようにしましょう。
献杯を間違っても乾杯と言い間違えないように。
「乾杯と言い間違え?それはないでしょう」と思いますよね。
いやいや、私はその言い間違いを二度目の当たりにしましたから。
その場にいる 全員を一瞬でかたまらせてしまう威力。
自信がない方は遺影に向かって「いただきます」の一言でも大丈夫。
十分献杯の発生となります。
《 例文1 》
故人の友人
故人とは社会人となってからもお互いを叱咤激励して参りました。
あの屈託のない笑顔が見られないと思うと、とても辛く寂しい思いでいっぱいです。
でも優しい故人のこと。
いつまでも私たちを見守ってくれていることでしょう。
それでは献杯させていただきます。
献杯。
《 例文2 》
故人の兄
兄の◯◯でございます。
本日はお忙しい中、弟◯◯のためにお集まりいただきありがとうございました。
誰よりも責任感が強かった弟でございます。
無事、三回忌を迎えられ安心していることでしょう。
皆さまと弟の思い出を語り合いながら弟を偲びたいと思います。
それでは皆さま、献杯のご唱和をお願いいたします。
献杯。
施主が献杯のあいさつをする場合。
食事前のあいさつの後献杯へ。
喪主の法事あいさつはいつ・どこで?タイミングとマナーを確認
あいさつのタイミングは3回ある
法事で喪主があいさつを行うタイミングは、一般的に次の3回です。
| タイミング | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 法要前 | 開式のあいさつ | 僧侶・参列者へのお礼。短く丁寧に。 |
| 会食前 | 食事前のあいさつ(+献杯) | 故人の思い出を一言添えると温かい印象に。 |
| 会食後 | 締めのあいさつ | 参列者への感謝と、無事に終えた報告を。 |
会食前・後の挨拶は、参列者との距離を縮める大切な時間です。
「うまく話そう」よりも、気持ちをまっすぐに伝えることを意識しましょう。
喪主のあいさつで避けるべき忌み言葉
仏事では、不幸が「重なる」ことを連想させる言葉は避けるのがマナー。
以下の言葉は言い換えましょう。
| 忌み言葉 | 言い換え例 |
|---|---|
| 重ね重ね | 改めて |
| たびたび | よく |
| ますます | 今後とも |
| また会う | ご縁をいただき |
| 再び | 改めて |
例えば「重ね重ねお礼申し上げます」は「改めてお礼申し上げます」と言い換えましょう。
締めのあいさつの例文(使える一言)
《 例文1:一回忌などでの締めのあいさつ 》
本日はお忙しい中、◯◯の一回忌法要にお集まりいただきありがとうございました。
皆さまに温かいお言葉をいただき、心より感謝申し上げます。
これからも生前と変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
《 例文2:三回忌以降などでの柔らかい締め 》
本日はお忙しい中、◯◯の三回忌にお集まりくださりありがとうございました。
月日の流れとともに、悲しみも少しずつ癒えてまいりました。
本日の会食で皆さまと思い出話ができ、心が温かくなりました。
今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
法事での喪主の食事前あいさつ真似して使える例文を紹介!【まとめ】
回忌を重ねるにつれ、故人への思いや自分の感情に変化がでてくるもの。
その時の自分の素直な気持ちをごあいさつにしましょう。
出席いただいた方々への感謝の気持ちも忘れずに。
忌み言葉、乾杯言い間違え。
それさえ気を付ければ難しく考えなくても大丈夫。
自分の言葉で伝えようとする気持ちには真心があります。
「うまく言おうではなくて、今の気持ちを素直に伝えよう」
それがが何より大切です。
