四十九日法要のあとに行われる会食(御斎)では、最初に「献杯(けんぱい)」のあいさつを行います。
しかし、急に任されて「何を話せばいいの?」「乾杯との違いは?」と戸惑う方も多いはず。
この記事では、四十九日での献杯の意味・マナー・注意点・挨拶例文(施主・友人・親族別)をわかりやすくまとめました。
初めてでも落ち着いて献杯の挨拶ができるよう、短く心のこもった文例を紹介します。
献杯と乾杯は別もの
四十九日の主な流れは法要→墓参り→会食です。
四十九日法要後に会食する場のことを「御斎(おとき)」と言います。
御斎は精進落としとも言われ、参列者をもてなすための料理が振る舞われます。
四十九日前は精進料理を食べて喪に服していた遺族。
御斎には普通の食事に戻るためのもの、という意味もあるんです。
それ以外にも、会食しながら故人を偲ぶという大切な役目も。
その御斎を始める際の声かけが 献杯。
結婚式でいう乾杯にあたります。
しかし、役目は同じでも乾杯とは全く別物。
献杯は故人に敬意を表して捧げるもの。
なので、故人の遺影に盃を向けます。
献杯の時は盃を持つ手を高く上げない、献杯の唱和も静かにすることがルール。
参列者同士で盃を合わせることもしません。
もちろん献杯後に拍手などは絶対やらないようにしましょう。
四十九日での献杯のあいさつ文にもマナーはあります
献杯の挨拶の例文の前に挨拶の注意点。
1、あいさつは手短にしましょう。
挨拶は故人の思い出を長々と語る場ではありません。
故人を偲ぶ語らいは会食の時にたくさんしてください。
しかし、挨拶には故人の力強い思い出を1つ盛り込みましょう。
故人らしいエピソードは遺族への慰めにもなります。
2、故人の友人なら挨拶の前に自己紹介を忘れずに。
挨拶文のことに気をとられて、言い忘れてしまう人がたまにいます。
遺族側から結局あの人は誰?なんてことも…。
落ち着いていきましょう。
3、施主が挨拶するなら、ご足労いただいた参列者へ感謝の言葉を。
4、仏事には忌み言葉があります。
「ますます」「重ね重ね」など重複する言葉はマナー違反。
不祝儀が重なるという意味に繋がるからです。
挨拶の時だけではなく、法要や法事の最中も気をつけたいですね。
普段気軽に使いがちな「死ぬ」「生存中」「生きている時」のような言葉。
これも遺族に対して失礼にあたります。
「ご逝去」「生前」と置き換えて使いましょう。
四十九日法要は故人を亡くしてまだ日が浅く、哀しみも深いもの。
ダイレクトに死を連想させる言葉には気をつけたいですね。
次に、挨拶の例文をご紹介します。
四十九日での献杯のあいさつ 施主、友人、施主それぞれの例文
《施主が挨拶》
御尊師様のお勤めにより、父も無事に仏となりました
大の読書家だった父
子供の頃、父にたくさんの知識をもらったことが私の思い出です
どうぞ皆さまにも父をお偲びいただき、思い出を語っていただきたく存じます
まずは献杯させていただきます
献杯
《友人の挨拶》
本日は△△の四十九日法要にお招きいただき恐れ入ります
△△は何かあるとすぐに察して、多くは語らないものの傍で寄り添ってくれる優しい男でした
自分に厳しく人に優しかった△△は、今でも私の自慢の友人です
皆さまと△△の思い出を語り合い、ご冥福を祈らせていただきたいと思います
では、献杯のご唱和をお願いいたします
献杯
《親戚の挨拶》
おかげさまで無事四十九日法要を終えることができました
生前、大好きだった皆さまにお集まりいただき、◯◯も喜んでいることでしょう
皆さまがたの◯◯への生前のご厚情に感謝いたしまして、ご挨拶に代えさせていただきます
では、献杯
献杯のあいさつで使える一言メッセージ例と話し方のコツ
短くても心が伝わる一言メッセージ例
献杯の挨拶は長く話す必要はありません。
参列者が静かに故人を偲ぶ雰囲気を壊さないよう、30〜60秒程度でまとめましょう。
以下のような一言を添えると、形式的にならず温かみのある挨拶になります。
- 「本日はお忙しい中、〇〇のためにお集まりいただきありがとうございます。」
- 「皆さまと共に〇〇を偲びながら、静かに献杯を捧げたいと思います。」
- 「〇〇の笑顔を思い出しながら、皆さまどうぞ盃をお上げください。」
- 「故人が安らかでありますように、心を込めて献杯いたします。」
施主の場合は感謝を伝える言葉を、友人・親族の場合は故人の人柄に触れる言葉を選ぶと印象が良くなります。
話し方・声のトーン・立ち位置のマナー
献杯の挨拶では「声の大きさ」や「立ち位置」にも注意が必要です。
- 声のトーン:明るすぎず、しんみりしすぎない穏やかな声で。
- スピード:焦らずゆっくりと、間を取りながら。
- 立ち位置:遺影の方に体を少し向け、参列者全員に聞こえる位置に立つ。
- 献杯の合図:「献杯」と静かに一言。声を揃えて唱和してもらいましょう。
献杯後に盃を軽く口に含んだあと、静かに置くのが作法です。
拍手や歓声、盃を合わせる行為は厳禁です。
NGワード・忌み言葉一覧(挨拶で避けたい表現)
献杯の挨拶では、弔事にふさわしくない「忌み言葉」を避けるのがマナーです。
| NGワード | 理由・置き換え例 |
|---|---|
| 重ね重ね、再び、またまた | 不幸の繰り返しを連想させる |
| 別れる、死ぬ、亡くなる | 「ご逝去」「旅立たれる」などに言い換え |
| 終わり、切れる、消える | 縁が切れる印象を与える |
| 苦しい、悲惨な | 聞く人の心情を刺激しやすい |
あらかじめ原稿を用意する際は、これらの表現を避けることで落ち着いた印象になります。
四十九日での献杯のあいさつ【まとめ】
献杯は故人の供養のために捧げるもの。
間違っても乾杯のようにはしないこと。
献杯の挨拶をお願いされた場合。
難しいことを言わなくてもいいんです。
あなたの精一杯のお悔やみの言葉を故人に送りましょう。
それだけで気持ちは十分伝わります。
心配なら原稿を用意しても大丈夫です。
原稿があれば、気持ちに余裕が生まれるので落ち着きます。
見ながら挨拶してもマナー違反ではありません。
