「年越しそばは31日に食べるもの」というイメージが強いですが、予定の都合で30日に食べたくなることもありますよね。
この記事では、30日に食べても良いのか?歴史や意味、そして食べ方の工夫について解説します。
年越しそばの起源「晦日そば」
今からさかのぼること200~250年前の江戸時代。
当時商家の当主が、毎月月末に奉公人へそばを振舞う習慣がありました。
それを「晦日そば(みそかそば)」と呼び、現在の年越しそば同様、ゲン担ぎの意味を込めて食べられていたそうです。
「晦日」は別名「三十日」、つまり月末を意味します。
12月は1年の集大成の月であることから、12月の月末を「大晦日」と呼ぶのですね。
年越しそばは、この「晦日そば」から広まった文化という説が有力とされています。
しかし明治時代には「晦日」という言葉自体が使われなくなり、晦日そばの習慣も徐々に薄れていきました。
結果的に年越しそばの文化だけが残り、現在の形に落ち着いたということになります。
年越しそばの意味
年越しそばは、「ゲン担ぎ」「縁起物」というイメージがありますが、具体的にどのような意味があるのでしょう?
一年の厄落とし
そばは切れやすい特徴があることから、1年の災難や苦労を断ち切るという意味が込められています。
一年の最後に食べるには、ピッタリの食べ物ですね。
長寿・健康祈願
そばは、細く長く伸ばした食べ物です。
この特徴が「寿命を延ばす」「健康」を連想させることから、縁起物として食べられるようになりました。
一家繁栄
家運を延ばし、そばのように細く長く家族が続くよう願ったという説もあります。
これらはあくまで代表的な意味に過ぎません。
そばには他にも、様々な縁起の良い意味があるとされています。
毎年なんとなく食べていた年越しそばも、意味を理解することで、よりありがたい気持ちでいただくことが出来るのではないでしょうか?
30日に食べるのはOK!
年越しそばの歴史や意味を踏まえて言えば、「30日に食べるのはあり」ということになりますね。
年が明ける前にそばを食べることで、「一年の厄落としをして新年を迎える」というゲン担ぎになります。
1年の最終日ではありませんが、月末であることは確かですからね!
また年越しそばは、朝・昼・夜のどのタイミングでいただくかは自由です。
ご自身の予定や都合に合わせて、年越しそばをいただきましょう。
年越しそばを前日に食べるときの工夫
二日に分けて食べても良い
30日に予定の都合でそばを食べた場合でも、大晦日に少量を改めていただく家庭もあります。
量は控えめでも「31日にも口にした」ということで、厄落としや長寿祈願の意味を取り入れることができます。
家族や地域の習慣を尊重する
年越しそばの習慣は地域や家庭によって微妙に違います。
30日に食べることを特に気にしない家庭もあれば、「やっぱり31日が良い」と考える家庭も。
家族の意向を大切にしながら決めると、余計なトラブルを避けられます。
「晦日そば」として楽しむ
江戸時代には「晦日そば」として毎月の末日に食べる習慣がありました。
30日に食べることも、この文化に通じると考えれば自然です。
「大晦日以外の日でも歴史的には間違いではない」と考えると気持ちも軽くなります。
元旦に食べるのはだめ?
上記の理由から、一般的なゲン担ぎという意味で、元旦にそばを食べるのはNGということになります。
「新年早々、運を断ち切る」という意味になってしまうからです。
しかし一方で、地域によっては元旦にそばを食べるという文化もあるようです。
「元旦そば」「ついたちそば」「正月そば」と呼ばれていて、新年の健康や長寿、災難を断ち切るといった思いが込められています。
意味に関しては、年越しそばとよく似ていますね。
年越しそばを30日に食べるのはだめ?歴史や意味からわかるそばを食べるタイミング!【まとめ】
いかがでしたでしょうか。
「年越しそばを食べるタイミングはそれぞれ」ということがわかりましたね。
どの教えが正解ということはなく、「自分の信じる意味や願いにあやかって、そばをいただく」という在り方が大切だと私は思います。
また年越しそばはあくまでゲン担ぎですから、食べなかったからと言って災難が降りかかることはありません。
ぜひ今年の年末は、そばに込められた意味に思いを馳せながら、年越しそばを食べてみてくださいね。