お中元を贈る際に悩みがちなのが、「のし紙への名前の書き方」です。
贈る相手が会社、親戚、友人、あるいは夫婦連名にする場合など、状況によって正しいマナーは異なります。
また、名前をあえて書かないケースもあり、「名前なしでも失礼ではないのか?」と心配になる方も多いでしょう。
本記事では、お中元の「のし紙」に関する基本ルールと、ケース別の名前の書き方をわかりやすく解説します。
大切な贈り物だからこそ、マナーを守って気持ちよく届けましょう。
お中元の「のし紙」とは?選び方の基本

お中元に添える「のし紙」は、贈り物に気持ちを添えて伝えるための大切な要素です。
ただ品物を贈るだけではなく、形式やマナーにも心を配ることで、相手に対する感謝や敬意がより伝わります。
その第一歩が、適切なのし紙の選び方です。
紅白蝶結びののし紙を使用

お中元には「紅白蝶結び」ののし紙を使用するのが一般的です。
蝶結びは、簡単にほどけて何度でも結び直せることから、何度繰り返してもよい慶事に適しており、お中元・お歳暮・出産祝いなどで用いられます。
紅白結び切りはお中元にはNG

一方で、「紅白結び切り」は一度きりであってほしい意味合いを持つため、結婚祝いやお見舞いの贈答に使用されます。
お中元には不適切なので注意しましょう。
さらに、贈る品物の内容にも配慮が必要です。
海産物など「生もの」を贈る場合は、のしの代わりに掛け紙(のしなし)を選ぶのが礼儀です。
これは、のしの本来の意味が「熨斗アワビ」という乾燥したアワビを象徴しているためであり、生ものに重ねると意味が重複してしまうためです。
のしの書き方と配置のルール

のし紙には、表書きとして中央上部に「御中元」と記載します。
文字は楷書体で、毛筆や筆ペンを使って太めに書くのが基本です。
印刷されたものでも構いませんが、できる限り手書きにすると丁寧な印象を与えます。
その下、中央下部には贈り主の名前を記入します。
名前は表書きよりもやや小さめにし、水引の結び目やのし部分と文字が重ならないように位置やサイズに気を配りましょう。バランスよく書くことが大切です。
名前の大きさや筆圧に気を付けるとともに、スペースの中央にくるように配置すると、見た目にも整い、相手にとっても読みやすくなります。
のしに書く名前の基本ルール
のし紙に記載する名前は、基本的には世帯主(家長)のフルネームを使用します。
これは、「誰からの贈り物か」を明確に示すためのものです。
個人名だけではわかりづらい場合もあるため、フルネームで記すことが好ましいとされています。
独身の場合は、自分自身のフルネームをそのまま書けば問題ありません。
また、相手との関係性や状況によっては名字だけでも成立しますが、同じ名字の人が多い会社や親戚間では、混同を避けるためにもフルネームが無難です。
贈る相手が目上の立場にある場合や、公的な場面での贈答では、より丁寧さを重視してフルネームを使いましょう。
ビジネスの取引先や恩師などに贈る際も、しっかりと名前を書くことが信頼につながります。
お中元ののし|ケース別の名前の書き方マナー
会社宛てに贈る場合
取引先の企業に贈る際は、個人名だけでなく、左側にやや小さく会社名を記載すると分かりやすくなります。
たとえば:
株式会社〇〇 山田 太郎
夫婦連名で贈る場合

夫婦連名にする場合は、右側に夫のフルネームを、左側に妻の名前のみ(名字は省略)を記載します。
例: 山田 太郎 花子
名前の大きさやバランスにも注意し、夫婦の関係性を示す形式にしましょう。
名前を書かない方がよいケース
以下のような場合は、のしに名前を書かなくてもマナー違反にはなりません。
- 手渡しで贈る場合(贈り主が明確)
- 親しい家族・親戚など近しい関係者
- 宅配時に伝票や送り状で贈り主が判明している場合
ただし、ビジネス関係やフォーマルな相手に対しては、必ず名前を記載しましょう。
お中元の「のし」に贈る相手の名前は書かないのはなぜ?

メールや手紙では「〇〇様」と書くのが一般的ですが、のし紙には「様」をつけません。
これは形式として「贈る側の名前のみを書く」のが習わしだからです。
のし紙に書くのは、贈り主の名前だけ。
つまり「誰からの贈り物か」を示すものなので、受け取り手の名前を書くことはなく、敬称も不要です。
とくに若い世代やビジネスマナーに不慣れな方には、「相手の名前を書かなくていいの?」「“様”をつけた方が丁寧なのでは?」と疑問に思われるかもしれません。
しかし、お中元は贈答文化に根ざした慣習であり、「のし紙=贈り主の名を記すもの」として確立されています。
相手の名前を書く必要がある場合は、別途メッセージカードや送り状で補いましょう。
お中元ののし|筆記具や書き方のマナー

のし紙への記入は毛筆が望ましいとされていますが、筆ペンでも問題ありません。
マジックやボールペンは避けましょう。
手書きの文字には、贈り主の誠意がより伝わります。
楷書で丁寧に書くことを心がけましょう。
まとめ|相手に応じた名前の書き方で丁寧な印象に
お中元の「のし」に書く名前は、相手や状況によって適切な書き方が異なります。
基本はフルネームで記載し、夫婦連名や会社宛てなどのケースに応じて書き方を使い分けましょう。
手渡しや親しい間柄であれば名前を省略しても問題ない場合もありますが、迷ったときは丁寧な書き方を選ぶのが安心です。
正しいマナーを守ることで、気持ちのこもったお中元として相手に好印象を与えることができます。